石川県金沢市・白山市のお隣　野々市市の手技整体治療院　手技療法院せいしん

初めて当院に来られる方から最初の電話でよくこう言われます。「整体をお願いしたいのですが…」と。その質問に対して私はいつも「皆さんが仰る整体がどのようなものを指すのか分かりませんが…」と言い始めて当院の治療法に関して大まかな説明をさせて頂いています。患者さんがこう質問されるのも仕方がありません。電話帳には整体のカテゴリーに載せているからです。ではなぜ私が説明の前に前述のフレーズを付けるのか？ここに私の強いこだわりがあり、そのこだわりがあるからこそこの道に入り『手技（しゅぎ）』という治療法のみで施術しています。

そもそも『整体』とは『効果』であると思います。その効果を実現するものが『治療法』であり、指圧や鍼（はり）などが挙げられます。極端な話、ピロリ菌などの細菌によって消化器が弱ったり傷んだりして身体のバランスが崩れ、その結果腰痛を引き起こすこともあります。この場合抗生物質で細菌を消滅させ消化器を治すことで身体のバランスが整ってきます。つまり投薬でも『整体』となるのです。それでも投薬治療のことを『整体』と言うことはありません。どんな方法でも身体が治れば効果の大小はあるにしてもバランスが整うのです。実はここに落とし穴というか抜け道があることが『整体』という言葉の問題の一つだと考えています。つまり『整体』とはどんな手法を用いても使える使いやすい言葉なのです。実際雑誌の広告などで『整体』と謳っているほとんどがあん摩マッサージ指圧を行っている写真を掲載しています。この場合法律の関係であん摩マッサージ指圧の言葉を使えない所がごく一部あるのですが、そのことはあちこちで言われていることなのでここで触れません。

かつては整体と言えば野口晴哉先生の『野口整体』を指していたと聞いています。それ以前にも整体と言う言葉は使われていたようですが、治療家の間ではなく世間一般的に『整体』という言葉が知られるようになったのが『野口整体』の影響があったようです。その野口整体も野口先生が行う整体は関節をボキボキしたりすることはなかったと聞いています。しかし残念なことですが、野口先生は「技は盗むものである」としてお弟子さん達に大事なことを教えなかったと聞いています。そのため手順だとか格好だけが残り大事な技が抜けた「形」だけが残ってしまい、本来軽い刺激で良かったものが変わっていってしまったようです。その後野口先生は『活元運動』へ活動の中心を移していったようですが、そちらのことには私は明るくないため触れられませんが非常に残念なことだと思います。

またカイロプラクティックも元々は関節をならすようなものではなかったと聞いています。最近になってソフトカイロなどという言葉も出てきていますが、ただ元に戻ったというのが正しいのではないかと思います。このソフトカイロという言葉とともにソフト整体という言葉も最近は増えてきました。実はここが肝心なところなのです。カイロプラクティックに対してソフトカイロプラクティック、整体に対してソフト整体なのです。このそれぞれの対比は関節をボキボキやるかやらないかと言うことです。つまり現状ではカイロプラクティック・整体という言葉には関節をボキボキ鳴らす或いは強い刺激を用いるという概念が含まれていると言うことです。専門家の方々はそんなことはないと仰るでしょうが、一般的にはそういう意味でそれらの言葉が使われているのが現実です。関節をボキボキしなくても整体は整体なのです。しかし現在では『整体』＝関節をボキボキする施術方法として認識されています。その点において私自身は『整体』という言葉はあまり好きではないのです。

『野口整体』のようにある流儀・操法を用いて行う施術の固有名称として『○○整体』や『○○式整体』などのように用いられることはあっても、治療の分類（カテゴリー）として用いられる言葉ではないと思っています。

しかしながらこれだけ整体という言葉が広く使われるようになった現在は、上で述べたことに加え別の意味が含まれてきたように思います。整体という言葉が増えたために本来はマッサージ＝矯正効果（整体効果）＝治療・リラクゼーションという関係性が世の中的にはマッサージ≒リラクゼーション≠整体≒治療という感覚が広まってきているようです。

当院の『手技（しゅぎ）』という治療は関節をボキボキしたり強い刺激を加えることははしません。しかし電話帳には整体に掲載していますし、このホームページにも整体という言葉を使っています。当初よりはいい意味で広く整体という言葉が一般的になって患者様からすればその内容よりも治療という言葉の置き換えとして使われているようなのでこのホームページでは整体という言葉を使っています。

よくあるお問い合わせのページで「広い意味では整体ですが、狭い意味では整体ではありません」とお答えしたのはこのような理由のためです。